高野口中学校を街中へ!の会

橋本市教育委員会

橋本市教育大綱

橋本市教育大綱は市長と教育委員会で構成する総合教育会議での協議を経て市長が策定するもので、市の教育行政の根本となる指針を示すものです。
基本方針と重点目標として「(9)より良い学びの場のための教育環境を整えます」とあります。
危険な山の中での建て替えはこの指針に反する行為であると考えます。


高野口中学校に対する教育委員会の対応

・昭和56~57年(1981~1982):高野口中学校建築

・平成18年(2006年):耐震診断
Is値0.3以下、判定×(Is値は耐震性能を表す指標で震度6以上の地震が起きた場合、Is値が0.3未満では倒壊または崩壊する危険性が高いとされています)

・平成22年(2010年):耐震工事

・平成22年(2010年)、平成25年(2013年):屋外防水工事

・平成29年(2017年)12月:原因不明の雨漏り
「その都度、学校からの要望に応じて雨もり等については調査しておりますけれども、はっきりとした原因究明には至っていない。 そのときそのときで対応させていただいているというのが現状です。」

・平成29年(2017年)12月:文科省職員の評価
「高野口中学校については、同年代で建設された校舎と比較してもより傷みが激しく、改修するとしても構造的な見直しを図らない限り、再び短期間での改修に多額の費用を要すると考えられるとの感想がありました。」
「そのときに、構造上でいいますと、まず、パッケージ化されていないという表現をされていました。 パッケージ化というのは、外から風雨を守る、普通、公共施設ですと、外から風雨を守るために、パッケージ化するのが普通であると。 でも、高野口中学校については、デザイン性その他いろんな点があったと思いますけども、外階段、外通路になっておりまして、 パッケージ化されていないという、これはちょっとデザイン的にも不思議な構造ですねということが一点目です。」

・平成29年(2017年)12月:改修困難
「校舎の構造上、外階段、外通路となっており、風雨が直接当たるため校舎の傷みが大きく、大規模改修を行う場合、多額の費用が必要であると想定され、本市の財政状況にかんがみ、構造上の課題全てを改修することは困難であると思われます。」
「高野口中学校につきましては、大規模改修というのがかなり困難であります。そういう意味でいいますと、違う、大規模改修でない方法で検討していく必要があると、そのように思っています。」

・平成30年(2018年)8月:建物の劣化状況についての調査
健全度100点中34~40点、総合評価C~D

・令和2年(2020年)9月:原因不明の雨漏り続く
「次に、校舎・体育館等の雨漏りの原因は解明できたのか。またその対策についてお答えします。 業者を入れての専門的な調査は実施していませんが、目視等により雨水の浸透箇所を発見し次第、その都度、所属職員による修繕で対応しています。 しかし、体育館の雨漏りについては抜本的な改修が必要となるため、暫定的な対応となっています。」

・令和2年(2020年)9月:外壁の劣化、ひび割れ
「まず、検査というか調査ということにつきましてなんですけども、定期的なまずは調査、検査ということでは、特定建築物の定期検査、定期調査というのはやってございます。 これ、2年に1回、これは義務づけられておりますので、市内小・中学校全てやっておるんですけども、その中ではやはり是正が必要であるというような指摘は、 高野口中学校においては、例えば外壁、建物の外側ということですけども、外壁の劣化であったり、ひび割れであったりという指摘は受けてございます。
「我々職員のほうができる範囲内で、防水の材料を注入したりとか、ちょっと塗装をしたりとかということでの応急措置的な修繕をさせていただいておるという状態です。」
「そういうところでも指摘いただいたところについては、できる限り職員が、できる範囲内のところについては補修をさせていただいておると。 また、学校から緊急に連絡があった場合についても、その都度対応をしておるという状況でございます。」

・令和5年(2023年):防災機能強化

校舎にアスベストが使用されていることが判明

アスベスト材そのものには毒性はありませんが、飛散した繊維を吸入すると肺がんや中皮腫等を引き起こす可能性があり、2006年以降は使用が禁止されています。
市議会の答弁で校舎にアスベストが使用されていることが判明しました。

田中議員「教育委員会は3階部分の崩落は全て落としたという話を聞いたので夏休み中に工事が入ると思っていた。 学校に行くと耐力度調査は行っているが修繕は行っていなかった。設計中という答弁だったが入札は終わっているのか?」

教育委員会「入札は終わっていない。依頼にも至っていない。雨漏りを止めるために屋上部分の対策を行っていた。 管理棟の梁の部分の改修と体育館への通路の天井部分を合わせて改修したかったが下地から非飛散性のアスベストが含まれていることが判明した。 予算の組み直しが必要になったので設計を組み直している」

田中議員「アスベストは当時認められていたので当時の責任は問えない。非飛散性とはいえ、崩落が起こっているので飛散する。 生徒の安全性にかかわるので、いつぐらいに工事にかかれるのか?」

教育委員会「1番近い補正予算への予算要求に努める」

田中議員 「高野口中学校は建て増しはしていない。下地からアスベストが出てきたということは全ての部分にアスベストが入っている可能性がある。 補正予算を組む場合は子供たちが使っている部分については早急に対策をお願いしたい。」

答弁を見てわかるように教育委員会が自らアスベストの使用を公表したわけではなく、田中議員の質問に応じる形でアスベストの話が出てきました。
教育委員会は田中議員が質問を行わなかった場合、アスベスト使用を公表していたのか疑問です。
本来であれば発覚した時点で学校、保護者に説明を行い、調査を行うべきであったと考えます。
アスベスト使用が発覚したのはお盆前後です。田中議員が議会で質問を行った9月10日まで教育委員会は何の対応も取りませんでした。
教育委員会は保護者に対してプリントを配布しましたが非飛散性(レベル3)なので危険性は低いという説明をしています。
非飛散性の場合、危険性は低いのは事実ですがそれは正しく使用されている場合の話です。
建材が破損している場合は話は異なります。

「レベル3の建材は、アスベストが建材の内部に含まれていることから、通常の状態ではアスベストは飛散しません。 ただし、建材が破損してしまうと建材の内部からアスベストが飛散する場合があります。」参照→アスベストNEWS
「建築物に使用されたアスベスト含有成形板などレベル3のアスベスト含有建材(以下「レベル3建材」という。)については、 レベル1又はレベル2のアスベスト含有建材に比べ相対的にアスベストの飛散性は低いものの、除去作業時に破砕や切断するなど、 その取扱いが不適切な場合、アスベストが飛散するおそれがあることが指摘されている」参照→総務省 レベル3のアスベスト含有建材の適切な処理の推進

下地が剥き出しになるほど建物が劣化している状態であれば継続的に粉塵は発生します。
その中にアスベストが含まれている可能性は否定できません。


剥離部分からアスベスト検出

田中議員に対する教育委員会の答弁

田中議員に対する教育委員会の答弁をまとめます。

田中議員 「高野口中学校通学路墓地東側部分について不審者が出没する件、歩道に樹木が覆いかぶさっており生徒が車道を通行することで苦情が学校に届いている件、 通学路の防犯灯が歩道と反対側に設置されているために歩道に光が届かない件、豪雨の際は山川から大量の水が流れ落ち歩道の役目を果たしていない件等、何度も指摘してきた」
「本年7月初旬、所々防犯灯の電灯が複数個所切れており、教育委員会に交換を再三依頼しても放置している。これらについての見解は?」

教育委員会 「電灯交換について対応が遅れたことをお詫び申し上げます」
「8箇所の未点灯の電灯があったことを確認し、業者に交換修繕を依頼している所」
「歩道の付け替えや照明の取り付け位置については簡単に変えることができないところもあり抜本的対策が難しい状況」

田中議員 「部長、課長に直接伝えて1週間後に通学路安全点検の会議で再度伝えたが、お盆明けにどこでしたっけという対応。20本のうち8本電灯が切れてた。不審者情報が多い所である。教育委員会は何をやっているのか?」
「平成23年、25年に通学路について質問した。関係機関と協議して色々進めていくという回答であったがどの程度協議されていたのか?」

教育委員会 「都市整備課との協議録としては見つけることができなかった。令和2年度に応急的な街路灯の設置、令和4年度に明かりの取り付け交換は行った」

田中議員 「体育館の雨漏りについて何年前から把握し、どのような対応をしていてその結果どうなったのか? 私が知る限りではブルーシートを屋根に被せ、コーキングを行っただけで効果はなかったと感じている」
「体育館への廊下の天井吹き付け台の剥がれについても対策されていない」

教育委員会 「体育館の雨漏りは平成30年頃に雨漏りが発生したため職員でブルーシート養生を行ったことが最初。令和3年にコーキングの打ち替え修繕を実施。再び雨漏りが発生。中央部分の屋根の錆が進み、コーキング部分も劣化が見られるため、部分修繕を業者に依頼しているところ」
「体育館への廊下の天井吹き付けについては現在改修工事の設計中で本年度に対応する予定」

田中議員 「体育館は平成22年には雨漏りしていた。平成23年2月頃、当時の教育長と協議をしている。それまでも雨の卒業式があった。 平成30年に教育委員会と協議して卒業式が雨予報だったので平成30年3月6日、教育委員会からブルーシートが提供された。 令和3年にコーキング。この間にも雨漏りをしていたが教育委員会はどのようなことをやってきたのか?」

教育委員会 「平成30年のブルーシート養生が初めての対応。平成22年、23年の記録については確認できていない。 平成30年から令和3年にかけて体育館の雨漏りに対する取り組みの記録も現状では確認できておらず、その間対応ができていなかった

田中議員 「危機管理課は体育館の雨漏りを知らなかった。情報共有が必要である。体育館の床のコーティングが剥がれている。今年度中に対応するのか?」

教育委員会 「床の部分はささくれてはいないので今年に関しては修繕しない

田中議員 「ささくれていなくても生徒がつまずいて怪我をする恐れがある。できる限り対応して欲しい。伏原体育館は修繕しているが優先順位は高野口中学校の方が上」

田中議員 「教室床の波打ちや視聴覚室の天井から光が差し込んでいる点、下田箱上部の雨水配管からの水漏れなど雨漏りが原因となっている箇所についてどのような対策をしているのか」

教育委員会 「床の波打ちにはその都度修繕で対応。下駄箱上の水漏れについては天井部分に水漏れ後はあるが現在は止まっている」
「視聴覚室の天井の上がトップライトのガラス屋根となっており、天井板の隙間から光が差し込んでいる。天井壁の一部の張り替え修繕を本年度中に行う予定」

田中議員 「下駄箱の上の雨漏りを教育委員会に修繕依頼したが、対応してくれなかったので学校が修理した。安全上のチェックが必要である。 チェックしているのか?」

教育委員会 「本来であれば教育委員会が対応すべきでした。」

田中議員 「職員室階段下、3階天井崩落について教育委員会から剥がれ落ちる可能性のある部分は全て落としたと報告を受けた。 その後8ヶ月たった今その下のコーンでの封鎖部分は未だ解かれていない」 「教師、生徒や保護者だけでなく、出入り業者からも不安があると聞く。安全であるならば教育委員会の責任の元に即刻立ち入り禁止を解除すべきでは?」

教育委員会 「剥がれ落ちる可能性のある部分は昨年度全て落とした。 水漏れや梁の一部に新たなひび割れが見られることで落下の可能性も否定できないので立ち入り禁止措置を継続している。 現在改修工事の設計中で本年度中に対応予定」

以降アスベストの件に続きます。

土砂災害特別警戒区域に対する教育委員会の対応

橋本市は境原小学校と城山小学校の統合計画を進めています。
保護者説明会で次のようなやりとりがあります。
参照→境原小学校_保護者説明会・意見交換会会議録

6-1.資料 16 ページ、教育委員会が考える望ましい学校規模の小学校のところで、 今後1学級の学年が生じている学校がさらに縮小することが見込まれる段階で、統廃合の検討を始めるとなっているが、 令和6年度は、境原小学校は増えている。城山小学校と紀見小学校の児童数もまだ2クラスの人数がある。 6年後にもまだ、2クラスか1クラスは確実にできる人数があるのに、この3年で統廃合を決めるという。 急いで統廃合の検討に進んでいる理由を教えていただきたい。

(教育委員会)
土砂災害のリスクを抑えたいというのがあるからです。 令和2年度に広島県で地滑りが起こる大きな土砂災害があり、それを受けて全国で土砂災害ハザードマップを作り、危険箇所を地図上に落としました。 境原小学校で紫のラインを引いているところが土砂災害警戒区域で、その中でも、紫で塗りつぶしてあるところは特別警戒区域ということで、もし災害が起こったら人命に危険性が生じるっていう、特に厳しいところです。 境原小学校には、東側と北側のところに急傾斜があって、これを見たときに、今までは起こっていないですが、 お子様方をお預かりして、学校運営をこのまま続けていっていいのか、やはり、危機を感じるところがあって、 そのリスクを少しでも抑えたいというところが、本来の学校規模の話と並行してありまして、今は最短目標を9年度とさせてもらっている次第です。 両方のことで考えています。


橋本市ハザードマップ紀見地区を拡大表示した図


橋本市ハザードマップ高野口地区を拡大表示した図

教育委員会は境原小学校については廃校に反対の意見があるにもかかわらず、土砂災害特別警戒区域に立地するという理由で廃校計画を進めています。
高野口中学校は通学路にも学校敷地にも土砂災害特別警戒区域が多数存在します。
高野口中学校は山の中にあるメリットがほとんど無く、代替地があるにもかかわらず同じ場所での建て替えを進めようとしています。
教育委員会のこのような姿勢は明らかなダブルスタンダードです。


6-2.災害の危険地域と言いながら、3年間の間に地震とかあった場合はどうするのか。 その3年間は何もせずに過ごすことになるのか。 そういうなら来年にでも移った方がいいんじゃないかとかも思うし、 トイレの改修工事をすると聞いているが、その予算を災害対策の方に回すとか、 3年にするのであれば、その3年間の間にもうちょっとできる対策があるんじゃないかと思う。 どういう3年なのかちょっとわかりにくい。

(教育委員会)
学校と学校を再編統合するとなれば、最低でも3年かかると考えています。 保護者や学校の教職員と話し合い、意思疎通を図る期間と、計画が定まった後、その準備がありますので、最低3年と考えました。 対策ですが、大きくハード対策とソフト対策があります。ソフト対策は、いわゆる警報が出ているときに学校運営をしない。 土砂災害が起こったときに子供たちの避難経路を崩れてくる方へ逃げるのではなく、安全な側に逃げなさいというソフト対策をしてきました。 ただハード対策は実際していないですけど、設計、工事でほぼ3年を要してしまいます。 それとこの北側の崩れていく可能性、危険性があるところが非常に難しくて、ここも崩れてくる危険性があるといいながらも、このスペースも限られてくる中で、 なかなかハード対策の予算化、設計・工事が3年をほぼ使い切ってしまうところがあるので、こういう形で恐れがあるところを回避したいと考えました。


高野口中学校は通学路にも学校敷地にも土砂災害特別警戒区域が多数存在します。
教育委員会は高野口中学校についてはハード対策どころかソフト対策もほとんど行っていません。
父兄の話では「雨の時は運動部の部室に極力近づかないように」という指導はされているそうですが、こんな対応で生徒の安全を守れるとは思えません。
高野口中学校の生徒の安全性について教育委員会は一体どのように考えているのでしょうか?